『IBM 奇跡のワトソンプロジェクト:人工知能はクイズ王の夢をみる』 読みました。IBMマシンがクイズ番組で人間のチャンピョンを圧倒するまでの奇跡を描いた、プロジェクトX的な話。AI(人工知能)やエキスパートシステムの延長として人の質問に答えられるマシンを作るという目標設定がされ、その具体的な形として(日本ではあまり知られていませんが)人気クイズ番組「Jeopardy!」でマシンと人間を対戦させるという企画が浮上。それに向けてIBMはワトソン(Watson)という名前のマシンを開発します。
それは技術的にクリアできるのか、Jeopardy!の番組担当者と交渉可能なのか、仮に勝ったとしてその技術はビジネスシーンで本当に利用できるのか。さまざまな問題が噴出しますが、ストーリーは一貫して、IBMの研究者がんばった!という内容。IBM本だなーというところは我慢しなくてはいけないのですが、いくつか示唆的な内容が書かれていたのでご紹介。
何か一つの発展があるたび、人間はそれにあわせて頭の中を調整し、記憶や計算や道案内のますます多くの部分を自分の作り出した道具に任せるようになってきた — pp.26
インターネットを(脳に対して)人間の外部記憶という人もいますが、たしかに便利なツールやサービスが登場するたびに人は脳の使い方を調整しているのでしょう。一見すると怠惰になる方向に。でも、それは希少な脳を一番有益なことに使うための調整かもしれないし、その時その時における最適化なのかもしれないなーとも思います。
つまり脳は環境によって働き方を変えるが、それはその時の環境に最適化しようとするのであって、長期レンジで生き残ろうとするわけではない。大きな変化の前で調整しきれないこともきっとあるはず。長期レンジで生き残るために脳をどう働かせるか、トレーニングするべきかは別で意識的に(やはり脳で)考える必要がある。簡単に言うと、一昔前は「詰め込み」脳がちやほやされていたけど、今は記憶していることの価値は相対的にさがって「応用」脳が役立つ、でも10年すると応用は機械的にできるので**脳が重視される、みたいな変化。
今の自分の脳の働きは現状で役に立つよう調整済みなのか、長期レンジでの変化に調整する準備はできているのかと考えると、かなりドキドキします。
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こちらも参考に
http://www-06.ibm.com/ibm/jp/lead/ideasfromibm/watson/

パ・リーグ ペナントレース制覇、クライマックスシリーズ制覇、日本シリーズ制覇、他11球団すべてに勝ち越しと、2011年は圧倒的な強さを見せた福岡ソフトバンクホークス。そのWエースが、普段何を考え、行動しているのかを対談形式で綴った一冊。
二人が好対照な思考パターン、行動パターンを持ちつつ、でも(だからこそ)お互いがお互いを認め合っているところがよく分かる。杉内は、クライマックスシリーズの優勝を決めた登板でも、10回表に先制点を許し泣き崩れるなど、これまで泣いた試合多数。喜怒哀楽がはっきりしているタイプ。逆にノルと手が付けられなくなるタイプ。野球大好き小僧がそのまま大きくなったようなタイプと書かれていて、なるほどなーと思いました。
和田はポーカーフェイスで淡々と投げるタイプ。終盤のピンチで逆転を許すなら1点も2点も同じとか、ヒットを打たれて同点にされるとリリーフするピッチャーが(今度は逆転されるという)プレッシャーになるからここはファアボールでも良いとか、思考が監督やコーチっぽい。対照的に大人思考ともいえるし自分勝手とも言えるしw
この本を読んで今年の杉内、和田の登板を見たら、もっと面白かっただろうなーと思わせる一冊。来年もこの二人の活躍に期待! でも二人ともFA権を取得していて行使するかのかどうか・・。
このまま、もうちょっと杉内、和田のWエースをみたいなー。ファン全員が望むとこです。

古本屋でうっかり定価より高く買ってしまった『明治開化 安吾捕物帖』
捕物帖というより探偵物。美形の紳士探偵 結城新十郎と、そのまわりをチョコチョコしている泉山虎之介と花逎家因果。虎之介が師と仰ぎ、虎之介の情報だけで事件の真相を解き明かしてしまう(ただし間違っている)安楽椅子探偵 勝海舟が主な登場人物。
パターンはいつも一緒で事件に新十郎、虎之介、因果が呼ばれる(正しくは後の2人は勝手にくっついていく)。虎之介が海舟に事件を話す、海舟がそれを元に犯人をいいあてる、虎之介が大いばりでそれを話すも肝心のところで間違っている。そして、新十郎が見事に犯人をいいあてる。最後は、海舟が悔しがる訳でもなく、「お前の情報が悪い」的なことを言われてしょんぼりする虎之介というパターン。
坂口安吾らしく戦後の混乱期と明治開化期を重ね合わせながら、世相に対する客観的な視座をエンターテイメント様式で描いた作品・・と書評などで書かれていますが、そこまで深読みしなくても、現在の探偵物の原型としてみるだけで十分面白いと思います。たとえばコナン=新十郎、眠りの小五郎=虎之介という見方とか。また、新十郎の観察が鋭いというだけでなく、人間味あふれ市井にまみれんとする点は、逆に古典的な捕物帖のいい部分を取り入れているとも言えます。遠山の金さん的なキャラとちょっとかぶったりもする。
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「UN-GO」としてアニメ化されるのも、ちょっと気になるところ。だいぶん新しい設定が加えられているようで、新十郎と因果は、なにかしら浅からぬ因縁があるようだし、海舟はメディア王という立場で情報量をもとに様々な事件を解決するが実は知られたくない裏があるとかないとか・・。
『明治開化 安吾捕物帖』は最初からエンターテイメント作品ですが、明治・大正・昭和期の文学作品を現代アレンジするのって、ちょっと萌えるんですよね。実は。
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古本屋で買ったこの本、完全にセピア色に変色していて、紙の甘い匂いがするんですよね(ちょっとフェチシズムぽいですが)
