
『人間失格』につづき、太宰治シリーズその2
玉川入水の前年に書いたとされる『斜陽』。タイトルの通り華族の没落を描いた作品です。
都内の家を売り伊豆に落ちた母、娘、息子。落ちた後に母は結核を病み、復員した弟 直治は酒と女に溺れ、結果みずから死を選ぶ。娘カズ子も直治を介して知り合った、決してまともとはいえない上原に歪んだ愛情を抱き、最後には上原の子をみごもる。
深すぎて、どう評価すれば良いか分かりません、というのが正直な感想。そもそも自分にこの作品を評価する資格があるのだろうか、とさえ思わされます。
ただ、母、娘 カズ子、息子 直治を通して、生きていくことの苦しさと、苦しさの底にひっそりと横たわる幸福感みたいなものは少しばかり理解できたような気がします。その行だけ引用。
■酒宴で上原を囲む人々に対するカズ子の感想
・・人はこの世の中に生まれてきた以上は、どうしても行き切らなければいけないものならば、この人たちのこの生き切るための姿も、憎むべきではないのかも知れぬ。生きている事。生きている事。ああ、それは、なんというやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。
■順序は逆ですが病床の母に対して
私は、お母さまはいま幸福なのではないかしら、とふと思った。幸福感というものは、悲哀の川の底に沈んで、幽かに光っている砂金のようなものではなかろうか。
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後期の太宰治作品を続けて読んだので、それ以外の時期の作品も読んでみようかと思いました。もちろん「ヴィヨンの妻」は映画、原作とも見てみようかと思ったりしてます。

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