深い————
簡単には書けないし、見る人によって様々に見えるだろう作品
へたれな男と、それを赦す女。2人が最後に赦しあい、愛を確認し、生きることに向き合う、というのが一般的な見方のようです。それとはちょっと違って、勝手な自分解釈は、2人とも必死、恥も外聞もなく生きる事に必死。そんな2人が最後に必要とするのが大谷にとっての佐知であり、佐知にとっての大谷ということなのではないかと。
大谷が「死にたい」と漏らすのはきっと本音なんだけど、その反面、生きたくてしょうがない。原作にはない心中から、泥まみれになって助かろうとするシーンにそれが見て取れます。でも生きているのも辛い、なので酒と女に溺れていく。
佐知も、しなやかで寛容な強さを持つ女性なのは間違いないけど、それは大谷のためだけではなく、きっと自分自身のためなのではないかと思うのです。だから嘘もつくし、おどけても見せるし、プライドを傷つけられても(水上警察署で秋子とすれ違うシーン)大谷を救おうとするし、「人にはいえないこと」さえ受け入れてしまう。
誤解のある言い方かもしれませんが、ある意味、二人ともへたれ
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映画というエンタメとしてみると、キャスティングが絶妙。佐知の強さとその裏にある脆さを松たか子が、大谷の陰のある生き様と男のみっともなさを浅野忠信が、絶妙な加減で演じます。椿屋の夫婦、伊武雅人、室井滋はハマリ役。伊武雅人は「のだめカンタービレ」裏軒のオヤジとかぶって、吹きそうになりましたが・・。他、広末涼子、妻夫木聡、堤真一。佐知を慕う岡田、そのひたむきさと熱情を演じた妻夫木聡の演技は、なんだかとても新鮮です。
佐知と大谷の過去のエピソードとか、弁護士 辻の登場とか、秋子と心中するシーンとか、原作にはないプロットが織り交ぜられていて、正直、ちょっと冗長な感じがします。。「グッド・バイ」の使い方もなんだかちょっと違うような。でも、そう感じるのは他の太宰の作品や、太宰という人のイメージを持っちゃてるからなのかもしれませんが。
60分くらいになっちゃいそうですが、原作を描いた部分だけで再編集したら、もっとシャープに太宰の世界観が伝わるんじゃないかと思います。それは、単に自分好みというだけなのですが。とてもいい作品だった故に、あーして欲しい、こうして欲しいって、なんだか欲が出ちゃいます(汗;
2009/10/24 at 02:02
「勝手なようだが
今は責めないでもらえないか」
うんうん、本当に勝手。でもそれが大谷という人間。