有川浩 『植物図鑑』


期待以上におもしろかった有川浩『植物図鑑』

『図書館戦争』『フリーター、家を買う。』の原作者なので、きっと面白いに違いないと思っていましたが、その期待をあっさり振り切ってくれました。個人的にツボにはまったという感じ。

ストーリーは、作者も後書きで書いてますが「リアル落ちもの系」。王女様が空から落ちてくる、女の子が朝めざめたら隣にいるという古典です。『植物図鑑』の場合は、普通のOLさんが、家の前で行き倒れている、ややカッコイイ男の子を拾うという展開。

「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」
「咬みません。躾のできた良い子です」

で本当に拾ってしまい、あとはお約束のように恋に落ち、拾われた男の子が何も告げずに出ていき、そして戻ってくるという、なんとも安心して読める作品。

『植物図鑑』では拾われた男の子(イツキ)が無類の植物オタクで、しかも料理が大得意。外食とコンビニという現代的で荒んだ食生活を送っているサヤカの胃袋をがっちりゲット。男の子でも女の子でも、食べ物で釣るのが一番だということが良く分かりました。しかも、イツキは、野に勝手に育つ植物(いわば雑草)を採ってきて華麗に調理してしまう。サヤカも野に育つ植物を狩る楽しさに引き込まれていく(サヤカはなぜか「狩る」という表現をします。草食系イツキとの対比。でもサヤカも肉食系というわけではない)。本文中でも植物の解説、その調理方法の解説がある程度詳しく載っていて食欲ジュルリです。

またサヤカとイツキの育んでいく恋は、不器用で、ベタベタに甘く、ちょっぴり切ない。一世代前の少女コミック的で、それがかえって新鮮だったりしました。やっぱり女の子的にはこういうの憧れちゃうんだろうなー、という感じ。もともとがケータイ小説だったというのもうなづけます。

『植物図鑑』ドラマになるといいなって思いました。いろいろな植物と、いろいろな食べ物がヴィジュアル的に見映えがするだろうし、ストーリーも甘く切なく、誰もが好きになりそう。でも季節を丁寧に描かないと意味ないし、ロケハン大変そうだし、植物の調達も面倒そうだし難しい?どうでしょうテレビ局のみなさん!

最後に、本文中でも引用されているイイ言葉を一つ。
『雑草という名の草はない。すべての草には名前がある』(昭和天皇)


  1. toshiyuki3

    ヘクソカズラ、フキノトウ、フキ、ツクシ、セイヨウカラシナ、ノビル、タンポポ、シロツメクサ、アカツメクサ、コメツブツメクサ、オオイヌノフグリ、レンゲ、スミレ、ハルジオン、ヒメジョオン、ナズナ、イヌガラシ、スカシタゴボウ、ワラビ、イタドリ、ノイチゴ、ユキノシタ、クレソン、イヌビユ、スベリヒユ、アップルミント、ヨモギ、アカザ、ハナミズキ、ハゼラン、ニワゼキショウ、ネジバナ




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