坂口安吾『明治開化 安吾捕物帖』

古本屋でうっかり定価より高く買ってしまった『明治開化 安吾捕物帖』
捕物帖というより探偵物。美形の紳士探偵 結城新十郎と、そのまわりをチョコチョコしている泉山虎之介と花逎家因果。虎之介が師と仰ぎ、虎之介の情報だけで事件の真相を解き明かしてしまう(ただし間違っている)安楽椅子探偵 勝海舟が主な登場人物。
パターンはいつも一緒で事件に新十郎、虎之介、因果が呼ばれる(正しくは後の2人は勝手にくっついていく)。虎之介が海舟に事件を話す、海舟がそれを元に犯人をいいあてる、虎之介が大いばりでそれを話すも肝心のところで間違っている。そして、新十郎が見事に犯人をいいあてる。最後は、海舟が悔しがる訳でもなく、「お前の情報が悪い」的なことを言われてしょんぼりする虎之介というパターン。
坂口安吾らしく戦後の混乱期と明治開化期を重ね合わせながら、世相に対する客観的な視座をエンターテイメント様式で描いた作品・・と書評などで書かれていますが、そこまで深読みしなくても、現在の探偵物の原型としてみるだけで十分面白いと思います。たとえばコナン=新十郎、眠りの小五郎=虎之介という見方とか。また、新十郎の観察が鋭いというだけでなく、人間味あふれ市井にまみれんとする点は、逆に古典的な捕物帖のいい部分を取り入れているとも言えます。遠山の金さん的なキャラとちょっとかぶったりもする。
*
「UN-GO」としてアニメ化されるのも、ちょっと気になるところ。だいぶん新しい設定が加えられているようで、新十郎と因果は、なにかしら浅からぬ因縁があるようだし、海舟はメディア王という立場で情報量をもとに様々な事件を解決するが実は知られたくない裏があるとかないとか・・。
『明治開化 安吾捕物帖』は最初からエンターテイメント作品ですが、明治・大正・昭和期の文学作品を現代アレンジするのって、ちょっと萌えるんですよね。実は。
*
古本屋で買ったこの本、完全にセピア色に変色していて、紙の甘い匂いがするんですよね(ちょっとフェチシズムぽいですが)
2011/11/10 at 01:20
ふるーくなった本って
それまでのその本の歩んできた
道がそのまま刻まれているようで
見てるだけやあるだけでも
楽しいですよね